トレンチコートの似合う男を目指したのは、意外にも早く二十歳過ぎた頃でした。3歳下の妹の成人式にトレンチコートを着て、式場に送っていった記憶があります。バイト先の洋服屋で購入したものでした。
その後、さらに英国服にのめり込んだ30代。当時、エーボンハウスの会長で服飾評論家、林勝太郎氏の著書”トレンチコートとバラの国”の中に「トレンチコートが似合うのは50歳過ぎてから」なんて言葉があり、英国服は歳を重ねるごとに似合うものだと教えられました。
いかがでしょう。トレンチコートが似合う男に成長していませんか。
そして、60半ばの今、渡英して嵌り出しているのが、ハットなんです。
購入したのは、キャスケット。
「キャスケットとは、ハンチングキャップ(フラップキャップ)に似たスタイルのカジュアルな帽子の総称。ハンチングよりもふっくらとした丸みのあるマッシュルームのようなフォルムで、8ピースから成るクラウンのトップ部分に天ボタンがついているのが特徴。この8ピーススタイルのキャップはスコットランドの伝統的なタム オ・シャンター(Tam O’Shanter)から派生したものだと言われており、キャスケットの名称は「かぶと」や「ヘルメット」を意味するフランス語の “casque” に由来する。このスタイルの帽子は1800年代後半から1900年代初頭にかけて、港湾労働者、農民、新聞配達員など、労働者階級の少年や男性から人気を博し、時間の経過とともに射撃や狩猟など紳士のスポーツキャップとして上流階級へと普及した。ちなみに欧米ではキャスケットのことを“ニュースボーイキャップ”や“ベイカーボーイキャップ”、“アイリッシュギャツビーキャップ”と呼び、キャスケットと称することは極めて稀だ」は引用文です。
まだまだ、被り方はぎこちなく、テレもありますが、徐々に慣れ、似合うようになっていくことでしょう。キャスケットを被った男前といえば、映画”スティング”のロバートレッドフォードや”シカゴ”のリチャード・ギア、そして”グローリーガイ”のスグルシニアなんて言われるように…そう信じて、挑戦です。
カシェートのバイイングの為、立ち寄ったのは、1676年に創業した世界最古のハットブランド 【Lock & Co. Hatters(ロックアンドコーハッターズ)】、通称「James Lock(ジェームスロック)」です。
店内も素敵ですが、スタッフの着こなしが見事でした。もちろん帽子の被り方もあたかも頭の一部のように自然です。
なんとも恐れ多いことです。
大胆不敵なカシェートバイヤーです。この世界に入り込むと、どうなることやら。ただ、間違いなくステータスが高くなった、そんな気分になることは間違いありません。
この秋、カシェートに登場します。詳しくは、カシェートバイヤーにお尋ねください。
キャスケットを被ったら、さらに魅力的になるスタイル、 3選です。上から【Valstar/バルスター】、【CAMPLIN/カンプリン】、【MACKINTOSH / マッキントッシュ】です。
新作であれば、【AVINO NAPOLI/アヴィーノ(アビーノ)ナポリ】の「サファリ風シャツジャケット」でしょうか。もう一度、キャスケットを被って撮り直ししましょう。なんて、そんな気分にさせてくれるアイテムです。”flom the top of the head to the toes/頭のてっぺんからつま先まで”が理想としていた店つくりです。
かつて、ハーディ・エイミスがあったサビィル・ロウ14番地。2019年6月に受け継いだのが、ハケット ロンドンの旗艦店でした。中にはバーバー(床屋)が隣接していて、開店当時からの理想だったショップがここに存在します。一時期において、ハケットの仕入れは、直営店を除いて最も多く展開していたグローリーガイ。35年前に渡英した目的が、ハケットのショップを見るためでもありました。ささやかな夢を掘り起こしてくれたのは、カシェートメンズバイヤーかもしれませんね。
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