私が語らせて頂きます! 〜TAGLIATORE編〜

 一言でジャケットと言っても、ブランドによって、スタイルやデザインは様々。

 どんなシルエットが好みか、自分の体型にはどのブランドが合うのか、などなど。店頭での接客でもお話しさせていただいていることでもありますが、知っているようで知らないジャケットのことを、ちょこっとだけ語らせて頂きます。

 今回ご紹介するのは、GLORY GUYのメインブランドの一つでもある【TAGLIATORE】です。

 

 オーナー兼デザイナーのピーノ・レラリオ氏が提案するのは、クラシコイタリアをモダンに進化させた新たなスタイル。モダンという言葉には、トレンドという意味も含まれますが、"TAGLIATORE=裁断士"の名を冠した伝統的サルトの技法に裏打ちされた技術と、それを現代のトレンドに落とし込むセンスやスタイリング力は、世界中の多くのファンを魅了しています。

 アンテナの高い若者から、ちょいワルな大人まで年齢層は広く、ジャケットを遊び着として、そして普段着として楽しむことができるのが【TAGLIATORE】。

 その特徴は、やはりシルエット。"TAGLIATORE=細身"というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。そのシルエットを作り上げるいくつかのポイントを、今回はタカイが解説していきます。

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 着用したのは、「G-DAKAR」ウール・コットン グレンチェック&ペン柄ジャケット。この「DAKAR」というモデルは、大定番モデルの「MONTECALRO」をベースに、芯地や副資材を省き、袖の裏地も抜いたことで、軽い着心地を実現させた軽量ジャケットの決定版です。

 今回は、このジャケットを基準に解説していきます。なお、モデルは180cm・67kg、胸囲94cmのやや痩せ型の体型でsize:46を着用しています。

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 まず注目するのは肩周り。

 芯地を省いたことで、肩周りの構築や立体感がなくなるのかと言えばそうではなく、型紙や裁断、縫製技術の妙は、サルトリア仕込みの伝統を感じさせます。実は、極度のなで肩で華奢な体型の私でも、男性的で厚みのある胸回りを演出してくれます。

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 それを実現させているディテールとして、さらに細かく見ていただきたいのは、背側と前身頃をつなぐ肩線の位置。

 かなり後ろに位置しているのがお分かりかと思いますが、背中の面積を少なく、前身頃や肩周りに多くの面積を持ってくることで、立体的で膨らみのある大きな肩周りを作り出しています。

 そのため、【TAGLIATORE】が似合う体型というのは、私のような華奢な体型だけでなく、実は、がっちりと鍛えられた大きな胸板の方でも然りで、多くの面でしっかりと包み込んでくれるのです。

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 そして、【TAGLIATORE】と言えば、タイトに絞った胴周りのシェイプ。胴と腕の間には大きな空間が広がっていますね。でも実は、数値上で見ると、他のブランドと比べて特別に細いということはないのです。

 では、なぜ細く見えるかと言うと、先にご案内した肩周りの作りが関係していました。

 大きく立体的に見せた肩周りとウエストの差が、逆三角形の形を際立たせ、その作りの妙によって、タイトにシェイプされたシルエットを演出しているのです。さらに、ボタン位置が高く、重心を上に見せているのも、それを効果的にしています。

 "TAGLIATORE=タイト=苦しい"というイメージを持たれがちですが、以外にも、お腹への負荷は少なく、スナップ写真で見るポッコリお腹のイタリア人も、こんなマジックによって、細身に見せているのです。

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 これは特別というわけではありませんが、裾のラインです。ラウンドさせることによって軽い印象にしています。ボタン位置が高いので、ポケットに手を入れた時に大きく開くのも、軽快に見せるポイントです。

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 大人の後ろ姿は大事ですよね。注目するのは、切れ込んだベントの深さです。

 他ブランドと比べると、少し深めに切れ込んだ【TAGLIATORE】のベント。ウエスト部分のくびれに引っ張られ、裾が外に跳ねているのがお分かりでしょうか。これが開き過ぎてしまうとダメですが、絶妙な位置で計算されているため、ウエストから裾まで、キレイに流れるようなラインを作り出しています。

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 いかがでしょうか。以上を踏まえての全体像です。

 ①大きく男性的な肩周りと胸の膨らみ ②逆三角形型に見せるウエストのシェイプ ③短かい着丈 ④ラウンドさせた裾 ⑤ベントの切れ込みが【TAGLIATORE】のポイントでした。それぞれの体型や好みと照らし合わせながら、ご覧くださいませ。

 なお、このジャケットを詳しくご案内しているこちらのblogもご参考下さい。

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 そして、同じ「DAKAR」では、他にこちらの2型をご用意しております。併せてこちらもご覧ください。

 

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